夕暮れフェルマータ

 人生のマジックアワーに振り返る好きな本とか自然とか…。

市街地に出没する野生動物たちについて考えた

 野生動物出没のニュースとクマの話

 最近、野生動物が市街地に現れたというニュースをよく聞きます。統計的なことは調べていませんが、本州に生息するツキノワグマにしても、北海道に棲むエゾヒグマにしても、山菜採りなどで山に入った人が遭遇するケースに加えて、クマの方が民家に近づいてきたように見えるケースが増えています。

 クマだけではありません。イノシシやシカ、また、これは地域性があるようですが、野犬の徘徊も改めて問題になっているようです。

 このブログでも何度か記事に書いたように、僕はバードウォッチングのみならず、アニマルウォッチングにも興味を持っています。だから、以前は、クマ(さすがにヒグマは怖いので、ツキノワグマですが)に会いたいなあ、と本気で思っていました。

 実際は、クマが木の幹につけた爪痕とか、新雪の上につけられた足跡しか見たことがなく、唯一、あれはクマだったんじゃないかなあ、と思うのは、夜、岐阜県滋賀県の県境にある国見峠を越える林道をアニマルウォッチングのために走っていた時、不意に前方に現れた一抱えほどの黒い塊が、やや鈍重そうに茂みの中に消えていったのを見た時だけです。タヌキやアナグマよりはずっと大きく、かといって、成獣のクマよりは明らかに小さかったので、もしかしたら子グマだったかも知れません。

 でも、これだけクマに襲われる事故が増え、場合によっては命を失う方もおられるような状況では、もはや、そんなことを軽々しく口にすることはできなくなりました。

 

夜の山、昼の里で会った野犬の話

 野犬についても同じです。以前、車でとある林道の車止めまで入り、そこから夜の林道を歩いたことがありました(岐阜県に移住してからのことです)。

 月が明るい夜でしたが、植林帯に入り、辺りが暗闇に閉ざされたところで、ふと、犬が低く唸るような声が聞こえたのです。最初は耳の錯覚かと思いました。ところが、今度は小さく抑えたような声音で吠えたのです。

 さすがにオオカミだとは思いませんでしたが、オオカミの生態や人間との関わりに関する本を読んでいたこともあり、野生化した犬が祖先を同じくするオオカミに似た生態を有するであろうことは何となく想像できました。

 気配は一頭だけでしたが、群れがいる可能性も否定できません。集団で襲われたらシャレになりません。僕は手頃な石ころをポケットに詰めこみ、木刀代わりの木の枝を握り締めて、敢えてゆっくりその場を通り過ぎました。怖気づいた様子を見せると却ってよくないと思ったからです。

 結局、その後は何事もなく、無事、車に辿り着くことができましたが、後に、僕の推測が間違っていなかったことが間接的ながら証明されました。

 ある冬。この地方でも何年かに一度、という大雪が降った日のことです。ちょっと雪見に出かけようと車を出しました。

 西に向かうとどんどん積雪が増えていきます。すると、民家もまばらになった辺りで、突然、山の中から十数頭の種々雑多な犬が飛び出し、雪原を走り始めたのです。

 遠景ですし、こちらは車の中ですから、前の時のような恐怖心はありませんでした。ただ、普段は文字通り山でオオカミのように生活していた彼らが、大雪のために食料に困って里に下りてきたのであろうことは想像がつきました。

 野犬の管理については、公的にも継続して取り組まれていることから、少なくとも僕が暮らす地域では、普段、全く見ることはありません。しかし、彼らは根絶されたのではなく、人間と関わりのない場所で生きていたのです。

 

僕が暮らす地域の日常的風景  & これからのこと

 イノシシやシカについて言えば、僕が暮らすこの地域でも、夕闇が濃くなると、まずイノシシが、少し遅れてシカが、毎日のように里に下りてきます。でも、ニュースに取り上げられるようなことはありません。

 なぜなら、彼らが下りてくるのは、民家と里山の間にある畑地や果樹園などだからです。

 もちろん、作物への被害を食い止めるために電気柵を設ける等の苦心はあり、それはそれで大変な負担だと思います。でも、逆に言えば、人間の生活圏と野生動物の生活圏の間に、そうした緩衝地帯が設けられていることによって、不意の衝突やその結果としての不測の事態を避けられてもいるわけです。

 最近の野生動物出没の事例の中には、もしかしたら、この緩衝地帯の喪失が原因であるケースもあるのではないか。野生動物の側からすると、いきなり異次元の世界に放り込まれて、パニックになってしまうということもないとは言えません。

 だからと言って、ここで無責任な解決案を述べるつもりはありませんし、そういう立場でもない訳ですが、こんなに狭い日本列島だからこそ、そこに住む人間として、野生動物との新しい関わり方を模索する時期が来ているのかな、という気はしています。

  

 それでは今日はこの辺で。

 最後まで読んでくださってありがとうございました。

 

yuugurefermata.hateblo.jp