夕暮れフェルマータ

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沢登りでの「しくじり」を、経験者が語ります!

沢登りのシーズン到来! 沢登り的自己紹介

 毎日、暑い日が続きます。沢登りの季節ですね。僕は多少、沢登りをやるんですが、全くの独学で、遡行(山行)もほとんどが単独行です。沢登りでは、不測の事態に陥った場合、一気に致命的な状況を招来する可能性が高いので、単独行は慎むべきなのですが、諸事情でそんな状態が続いています。

 最低限の登攀技術(登る、というより、降る技術)として、懸垂下降だけはできるように練習しました。滝や岩は登るより降る方が数倍難しいですから。

 単独行をやっている時点で無謀と言われればそれまでですが、自分なりには節度を持って渓に通ってきました。ザイルでパートナーに確保してもらわないといけないような滝がある渓は避けてきましたし、ちょっとでも自信が持てなければ直登せず、高巻きするようにもしました。但し、高巻きは高巻きで危険も多いので、油断はできません。ルート選択を誤ると、下降点を見つけられず、どんどん上へと追い上げられてしまいます。

 そんな感じでやってきたので、いわゆるクライミング技術は全くありませんが、地図を読む読図力はそれなりについてきたと思います。

 

僕の沢登り的事故紹介

 さて、今回は、僕が沢登り中に経験した「死ぬかと思った」的エピソードを、三つほどご紹介します。面白い話ではなくて、ごく初歩的な判断ミスも含めた失敗談です。

 ほとんどの方にとっては、常識の範疇だと思いますが、「分かっちゃいるけど…」という場合もあります。この記事を読んで、読まなかった時より、多少でもリスク回避できる可能性が高まれば、それで十分です。

①山で溺れる その1

 僕は泳ぎがあまり得意ではありません。平泳ぎなら何とかなります。沢登りでは、大淵を泳いで渡ったり、滝壺を泳いで滝の取付き点まで行くこともあります。そんな時、後続者のために先頭の者がザイルを引いて泳ぐこともあります。あっ、泳ぎながら引っ張るわけではありませんよ。岸に着いてから、ザイルに結びつけたザックに掴まった後続者を引っ張ってあげるのです。

 先頭の者はザイルの先に輪を作り、それを肩にかけて泳いでいくのですが、その時、気をつけないと、ザイルが足に絡まることがあります。僕もそれを経験したことがあります(その時は珍しくパートナーと一緒でした)。

 その渓は泳ぎを楽しむのが目的になるような小渓(奥多摩の海沢です)で、淵といっても可愛いものでしたが、溺れかけたことは確かです。

 ザイルを引いて泳ぐ際は要注意です(まあ、この記事を読んで下さっている方でも、そういう状況に直面する方はほとんどおられないでしょうけれど)。

 

②山で溺れる その2

 同じく奥多摩の川苔谷本流では、もっと怖い経験をしました。川苔谷は、奥多摩では超有名な沢登りのメッカ逆川の本流です。林道沿いではありますが、深い渓谷が続き、全て水通しで行くには相当の登攀技術が必要です。

 途中には名の知られた名瀑があり、適当なところで流れに降りて遡れば、見ることができます。その日は、前から気になっていた「聖滝」を見ようと、逆川遡行の前菜のつもりで川苔谷本流に降りました。

 水量は多いですが、さほどの悪場もなく、聖滝に着きました。但し、聖滝そのものは細長い淵の向こうに小さく見えるだけです。

 もう少し、近づいてみようと、何の気なしに泳ぎはじめました。ところが、淵の半ばまで進んだあたりで、何者かにグイッと足を引っ張られたのです。もちろん、水中に、です。引っ張られた足先が下がり、水面付近より明らかに低い水温を感じます。焦りました。力づくで足を引き抜き、バタバタと手足を動かして、何とか生きて帰ることができました。

 淵(特に滝壺)は、見た目は穏やかでも、水中で複雑な流れを作っている場合があります。特に水底に向かう流れは怖いです。いや、半端ではない力でした。

 前段のエピソードの逆を行きますが、こういう場合はザイルをつけていた方が安全なくらいです(笑)

 皆さんも渓(あるいは川でも)で泳ぐ場合には気をつけてください。川辺のキャンプなどでお子さんが川に入る時も同様です。流れが膝丈を越えると、一気に足を取られる可能性が高まります。ホント、注意してくださいね。

 

③山でテントが流される

 奥秩父の股の沢にでかけた時のことです。股の沢へのアプローチは、森林軌道跡を歩く部分もあったりして、なかなか楽しいのですが、その日は出発が遅れたこともあって、予定したよりだいぶ下流で野営しなければならなくなりました。

 良いテント場はないか、と、股の沢の本流にあたる入川沿いの登山道をキョロキョロしながら進んでいくと、気持ちの良い砂地の小川原が目に留まりました。

 川原ですから、もちろん、流れのすぐそばです。もう先が見えましたね。砂地は確かに居心地、寝心地抜群ですが、流れのそばに砂が溜まっているということは、ちょっと増水したら、すぐ水に浸かる場所でもある、ということです。

 いや、分かってましたよ。でも、好天だったんですぅ。その夜、降り出しました。もうシュラフに入ってたんですけどね。

 まだ大丈夫、と思いながら、ぐずぐずしていると、けっこう近いところでチャプチャプと水音が…。眠気も吹っ飛び、外を覗くと、もう砂地はどこにもありません。このままジッとしていれば、何の苦もなく下山できそうな…。

 つまらない冗談はさておき、慌てて撤退です。暗闇の中、ヘッドランプの明かりを頼りに持ち物を掻き集め、最後はサンタクロースよろしく、大袋と化したテントに数多の品々を詰め込んだまま、肩に担いで登山道まで這い上がりました。

 これ、確かに、テント場ではそんなに降ってなかったんです。でも上流で降ったんですよね。いくつもの沢筋から流れ下る水を集めて、入川本流はこんなになるんですねぇ。

 ポイントは二つです。今、ここで降ってなくても、上流で降れば増水する(あっ、もちろん、雪渓ダムの崩壊などの場合も要注意ですよ。上流に異変があると、渓の水が濁りはじめることもあります。何事も危険を未然に防ぐのが最上のリスク管理です! なんて、お前が言うなって感じですけど…。

 それから、砂地の川原は気持ちいいいけど、綺麗なバラには棘がある…。まあ、でも、泊まりたくなりますよね。高級ホテルのスイートルームのベッド以上の心地よさですから。泊まったことないけど。

 

結語

 なんか、調子に乗ってダラダラ長文になってしまいました。他にも、落石注意、とか、思いがけず現れた滝上の雪渓横断注意、とか、いろいろありますが、今日はこの辺で擱筆させていただきます。

 最後まで読んでくださって、ありがどうございました。

 

yuugurefermata.hateblo.jp