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テンカラ釣りの釣法のポイントと条件・その他

テンカラ釣りのベストシーズン・天候・水量は?

 テンカラ釣りのベストシーズンは、山吹が咲く頃とはよく言われます。当然、標高の低い地域や南の暖かい地域では早く、標高が高い、あるいは北の涼しい地域では遅く開花するのが基本ですから、テンカラ釣りのベストシーズンも、その渓の状況によって変わってきます。

 また、テンカラ釣りの場合は、餌釣り以上に、雪代が多い時期の釣行には向きません。ドライフライによるフライフィッシングほどには、水面に浮かせて釣ることへの拘りはありませんが、餌釣りのように深く沈めて探ることはやはり苦手なので、水量が多いと毛鉤をうまく流せませんし、何より水温が低い場合、魚が水面近くまで上がってきて餌(毛鉤)を咥えることが少ないからです。

 餌釣りの場合、雨の後や小雨の中など、川が若干増水して、ささ濁りになると、釣りの好機とされます。それは、テンカラ釣りでもある程度当てはまりますが、増水時は、餌となる虫などもどんどん流れてくるため、わざわざ水面までライズして捕食しなくても場合も多く、餌釣りほど好機到来とは言えないようです。また、雨中の場合は、雨滴によって水面が乱れるため、着水した毛鉤に魚が気づきにくいという問題もあるようです。

 とは言うものの、やはり雨後の増水時や、曇天時の方が釣果が上がりやすいことは確かです。但し、特に山岳渓流の場合には、晴天でもポイントごとに魚が飛びついてくることも少なくありません。こうした場合は岩魚が多いですが、餌釣り以上に、着水した毛鉤のインパクトが強いものと思われます。

 

毛鉤に魚を掛ける方法・そのための仕掛けは?

 テンカラ釣りの場合は、原則的に流れている毛鉤が見えています。魚が毛鉤を咥えるところも見えていることが多いです。一方、毛鉤が見えない状態でも魚は釣れます。むしろ、よく釣れると言っても良いです。こちらから毛鉤が見えない、ということは、魚からも釣り人の姿が見えにくいと言うことなので、これは当然とも言えます。なお、毛鉤が見えない場合のアタリの取り方ですが、ラインに餌釣り用の目印をつけたり、ラインの一部(ラインと先糸の間)に20cmほどの蛍光ラインを使用したりして、その変化を見ますが、これは想像以上によく分かります。

 テンカラ釣りの場合は、フライフィッシングと違って、ラインを水面にべったりつけることはあまりしませんが、竿の操作で毛鉤を揺らして魚を誘う場合以外は、いわゆるナチュラルドリフトで魚に警戒心を与えず毛鉤を咥えさせるのがポイントですから、空中のラインもたるませ気味にするのが基本です。そうしていれば、魚が毛鉤を咥えても、すぐにテンションがかからず、咥えた毛鉤に違和感を感じて吐き出すことも減りますし、ラインがスッと伸びるので、そのタイミングで竿を立てれば、殊更早合わせに拘らなくても十分間に合います。

 

マッチ・ザ・ハッチとイブニングライズ

 以前の記事で、フライフィッシングと違って、テンカラ釣りではあまりマッチ・ザ・ハッチ(=その時、羽化しているカゲロウ類(それを魚が捕食していると仮定する)を模した毛鉤をチョイスして釣る方法)には拘らない、と書きました。

 確かに山岳渓流の場合、同一種のカゲロウのハッチ(羽化)だけが集中的に見られるという条件自体が少ないこともあり、魚の方も、特定の種類の虫しか追わないという状況は考えにくいです。

 しかし、それとは別に、山岳渓流であっても、大きな淵や堰堤下のプールなどでは、かなり派手なイブニングライズ(夕方、羽化するカゲロウの追って、たくさんの魚が水面で捕食すること。しばしば水面を割って跳ねる個体が観察される)が見られることはしばしばで、そういう場合はテンカラ釣りの独擅場となります。

 また、大きな淵ではなくても、夕方近くになって虫が飛び始めると魚の興味も水面に向くようで、急に反応が良くなったりすることもしばしばです。「今までどこに隠れていたの?」と不思議になるくらい、魚が姿を現します。

 

お魚だって、のんびりしたい?

 ただ、これらのことは日帰り釣行が可能な渓において顕著な特徴であって、野営の装備を背負って源流を遡行する場合はもっと大らかです。もちろん、昔ほどではないでしょうし、条件に左右されるのも変わりありませんが、日中でも、晴れていても、魚はそこそこ釣れます。

 そりゃあ、魚だって、本来はそんなに警戒心の塊ってわけではないと思いますよ。入渓するのも困難な深山幽谷ではなくても、釣り人や沢屋さんが入らない穴場的な小沢では、魚も結構のんびりしています。小さな溜まりを覗き込んでいると、水面近くにボーッと浮いていて、近くを流れてくる餌らしきものをちょっと摘んでみたり…、と優雅なものです。そんな時は、おもむろに毛鉤を投げてやると、魚の方も慌てることなく、つつっと寄ってきて、至極ゆっくり咥えます。こうした場合は、むしろ早合わせしないよう気をつけなくてはいけません。魚が毛鉤を咥えたのを確認してから、一呼吸置いて竿を立てるくらいで十分です。

 

お岩魚さんの日向ぼっこ?

 そういえば、かつて、利根川支流の宝川の源流、ナルミズ沢に釣行した時には、とある滝の水流脇を攀じ登り、滝口から上流に向かって顔を覗かせたところ、目の前の畳大の小さな河原で9寸くらいの岩魚がバタバタ暴れているのに会ったことがあります。その時は、もしかしたら、岩魚って、時々そんな風に日向ぼっこでもするのかな、と、半ば本気でトボケたことを考えたりしましたが、あれは恐らく、すっかり油断してくつろいでいたところ、いきなりヌッと怪しい影が現れたので、びっくらこいて思わず水中から飛び出してしまったのだと思います。

 

魚も人間も思いは同じ?

 テンカラ釣りを始めた頃は、僕も人並みに自らの釣技の向上に熱心でしたが、そんな経験を重ねるにつれ、魚は本来、すぐ釣れるものなんだ、と気づき、現在の釣り場の状況が異常なのだと開き直ってしまい、たとえ釣れなくても、あまりイライラしなくなりました。ただ、魚たちが本来持っていたのんびりした生活を、我々釣師が恒常的に奪っている面があるのに、ちょっぴり申し訳ない気持ちにはなっています。

 そういう意味では、我々人間にとっても、平和って大事ですね。衣食足りて初めて礼節を知るということが言われますが、平和があって初めて創造的な活動もできるのではないでしょうか。

 いや、こんな大それたことを言おうと思って、この文章を書き始めたわけではないんです。ホントですよ。ただ、魚たちの現状に思いをいたす時、その原因の一端に僕自身が関わっていることも踏まえて、ふと自分を含めた人間のことを考えてしまったということです。

 それでは、今日はこの辺で。最後まで読んでくださってありがとうございました。

 

yuugurefermata.hateblo.jp

 

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