夕暮れフェルマータ

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ごくごく私的な「鳴鳥」・ベスト3

鳥の豆知識  日本三鳴鳥とは?

 先日、「尾を振る仕草が可愛い野鳥・ベスト3」という記事を書きましたが、今回は、さらに調子に乗って、鳴き声に注目したランキングを作ってみました。

 わが国では、ウグイス・オオルリコマドリを「日本三鳴鳥」として、鳴き声(囀り)の美しい鳥の代表として取り上げています。

 僕自身、この選択に何ら不満があるわけではありません(但し、このうち、コマドリだけは、旧徳山村地内の漆谷という揖斐川の支谷で姿は見たことがあるものの、直接には囀りを聞いたことがありません)。

 その一方で、この三種以外にも、鳴き声が美しい鳥はたくさんいます。ごく一部を挙げれば、クロツグミイソヒヨドリキビタキ、ウソなど。日常的すぎてつい忘れがちになりますが、カワラヒワだってなかなかのものです。

 まあ、今回は、記事のタイトルにあるように、ごく個人的に面白い出会い方をした「鳴鳥」三種について、つらつらと書いてみようと思っただけです(笑)。

 

それでは、ランキング、スタート!

第3位  ホトトギス

 古来、ホトトギスは、夏の訪れを告げる雅な鳥の代表として、その鳴き声が賞美されてきました。すでに『万葉集』の時代から、多くの作例を見ることができます。そんなホトトギスに出会ったのは、徳山ダム直下で揖斐川に流れ込む原谷という支谷でした。

 原谷の流れに沿ってつけられた林道は、源流間近になると、流れを離れ、一気に山腹を駆け上がります。支尾根を何度も回り込みながら、高度を上げていくと、思いがけず深い谷筋が眼下に切れ込んでいるのが見えます。

 その時、あのけたたましいホトトギスの鳴き声が頭の後ろから響きました。思わず頭上を見上げると、灰青色の大柄な鳥が、ぽっかりと広がった谷の上空を鳴きながら飛び去っていったのです。

 折しも、山は新緑の真っ只中。多くは屋内にあって、ホトトギスの初音を待ちわびた古代・中世の貴族さんとは違う出会い方ですが、やっぱり、「夏、到来!」という感覚を覚えたものです。

 雅語としての「時鳥(ホトトギス)」と、自然界で生きる実際のホトトギスとが、僕の中で違和感なく溶け合った瞬間でした。

 

第2位  アカショウビン

 以前、アカショウビンとの初めての出会いについて書きましたが、その後、今度は狙って会うことができました。実は、上記のホトトギスとの出会いがあった当日、ほとんど同じ場所で、あの「キョロロロ、キョロロロ」という、あの特徴的な鳴き声も耳にしていたのです。但し、鳴き声は空からではなく、遥か下手の谷の奥から聞こえてきました。普段なら、釣りをするにも其所までは入らないくらいの源流です。

 その日はおとなしく帰りましたが、数日後、僕はアカショウビンとの再会を求めて、再び原谷を訪れました。そして、狙い通り、アカショウビンに再会することができました。これは、僕の貧しい鳥見人生の中でも特筆すべきミラクルでした。

 

第1位  トラツグミ

 鵺(ぬえ)という怪物をご存知でしょうか。実は、鵺の正体はトラツグミだと言われています。正確に言うと、トラツグミの古名が「鵺」だったことが忘れられ、空想の物の怪として「鵺」が登場したという流れのようなのですが、確かに、トラツグミのあの独特な「ヒョーッ」という鳴き声は恐ろしいものがあります。しかも、月のない暗い夜によく鳴くというのですから、時代を超えて、不吉な想像が育つのも無理はありません。

 僕が初めてトラツグミの声を聞いたのは、奥秩父では沢登りのメッカとして有名な釜の沢の源流。当日、遡行の遅れから、谷中での野営を余儀なくされた僕は、わずかな平地を見つけてツェルトを張りました。月はなく、人工的な光も一切ありません。日が沈むと、向かいの尾根の輪郭が背景の濃紺の空にかろうじて判別できるばかりの暗闇に包まれました。そこに響いてきたのが、トラツグミの「ヒョーッ」です。

 分かっていても、怖かった。それも、言い交わすかのように、暗い森のあちこちから、「ヒョーッ」「ヒョーッ」と…。

 

 今日はこの辺で擱筆させていただきます。ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。

 

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