夕暮れフェルマータ

 人生のマジックアワーに振り返る好きな本とか自然とか…。

僕はこうして好きな詩人を「発見」しました。

好きな詩、好きな詩人

 好んで詩集を読み耽(ふけ)るなんてことはほとんどなかったのですが、それでも馬齢を重ねるにつれ、いつの間にか、お気に入りの詩も増えてきました。

 僕が心惹かれる作品には、どこか共通の特徴があるように思います。的確な説明がしにくいのですが、ディテイルを大切にしながらも、どこか非日常的な空気感を持った詩、とでもいいましょうか。このブログのサブタイトルにもなっている「マジックアワー」のような雰囲気と言ってもよいでしょう。

 例として、具体的な作品をいくつか挙げておきましょう。

 中原中也「言葉なき歌」

 辻征夫 「かぜのひきかた」

 安西均 「十一月」

 井坂洋子「朝礼」

 もちろん、好きな詩人、好きな詩は他にもたくさん挙げられますが、ここに挙げた四編は、その中でもスペシャルというか、僕の美意識の根っこの部分を強く刺激して止まない作品ばかりです。

 個々の作品については、いずれこのブログでも取り上げる心算でおりますが、今回は、安西均さんの作品「十一月」を知るきっかけにもなった『詩のこころを読む』という本をご紹介したいと思います。

 

『詩のこころを読む』 詩の入門書のスタンダード 

 『詩のこころを読む』は、ご自身も著名な詩人である茨木のり子さんが書かれた詩の入門書です。岩波ジュニア新書の一冊で、初版は1979年の発行ですが、現在も版を重ね

るロングセラーとなっています。

 ジュニア向けに書かれていることもあり、語り口は平明ですが、内容に妥協は見られません。人間の一生(ライフサイクル)に沿って構成された章立てにも、小手先でない工夫を感じます。そして、何より、取り上げる詩が素晴らしい。それらの詩を読んでいくだけでも、第一級のアンソロジーを繙いたような気分になれます。

詩のこころを読む (岩波ジュニア新書)

詩のこころを読む (岩波ジュニア新書)

 

 僕がこの本に出会ったのは、十代の終わりだったと思いますが、もう数え切れないほど読み返してきました。もちろん、常に通読しているわけではなく、その日その時の気分にあったページを開くのですが、そうしているうちに、個々の詩人の作品をもっと読んでみたいと思うようにもなりました。

 書店に行っても、お目当ての詩集にはなかなか出会えないのが現実ではありますが、図書館ならかなりの確率で見つけ出すことができます。ただ、少なくとも僕の場合、詩集というのは、読みたい時にすぐ読めることが大切なので、特に気に入った詩集は、注文してでも手に入れるようにしてきました。

 

詩集だけじゃない、詩人の本

 そういえば、詩人の書いたエッセイにも読んでいて楽しいものが多いですね。大岡信さんや辻征夫さんのものをよく読みます。その他、詩人による詩人の評伝にも優れたものが少なくありません。やはり、何より詩が好きで、しかもその詩人をリスペクトしているからこそ取り上げるのでしょう。心のこもった作品になるのも頷けます。井坂洋子さんが書かれた『永瀬清子』などはその典型でしょう。

永瀬清子 (五柳叢書)

永瀬清子 (五柳叢書)

 

 

 単独の詩はともかくオリジナルの詩集ともなると、今だに敷居が高い感じではありますが、良質な評伝やエッセイなどを一読しておけば、多少なりともとっつきやすくなるものです。そういう意味で、これも詩人の正津勉さんの手になる『詩人の愛 百年の恋、五〇人の詩』は、お気に入りの詩人を見つけるきっかけを作るのに最適な好著です。 

詩人の愛―百年の恋、五〇人の詩

詩人の愛―百年の恋、五〇人の詩