夕暮れフェルマータ

 人生のマジックアワーに振り返る好きな本とか自然とか…。

童話・絵本

ケリの擬傷と絵本『こちどりのおやこ』のこと

絵本『こちどりのおやこ』のこと 『こちどりのおやこ』は、1968年に福音館書店から「こどものとも」シリーズの一冊として刊行された絵本です。川の中洲で子育てをしていたコチドリが、外敵であるイタチから、擬傷によって雛鳥を守ったエピソードを絵本にした…

ブックレビュー 映画「転校生」の原作    『おれがあいつであいつがおれで』を紹介します!

長谷川集平さんのイラストもキュート あれは二十歳になるかならないかの頃、半年ほど、集中して児童文学を読み込んだ時期がありました。学校が休みの日に朝から図書館に通って、気になった本を読んでいきました。当時は児童文学や絵本についての評論や紹介本…

ちゅうちゅうは眠り姫か?          絵本『いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう』を読む

本書の梗概 & 作者の紹介 いたずらきかんしゃちゅうちゅう (世界傑作絵本シリーズ) 作者: バージニア・リー・バートン,むらおかはなこ 出版社/メーカー: 福音館書店 発売日: 1961/08/01 メディア: ハードカバー クリック: 10回 この商品を含むブログ (72件) …

長谷川集平『トリゴラス』『パイルドライバー』  荒ぶる少年の内なる世界

『トリゴラス』 集平マジック・その1 『トリゴラス』は、1978年に出版された、長谷川集平初期の傑作絵本です。強風の吹き荒れる夜、少年の妄想は「トリゴラス」という名の空飛ぶ怪獣を生み出します。散々、町を破壊し尽くした挙句、トリゴラスはかおるちゃ…

絵本『ひさの星』  自己犠牲をめぐって

作者の紹介 & 本書の梗概 絵本『ひさの星』は、子どもの手に余る大判で、基本的には読み聞かせすることをイメージした装丁のようにも思えます。 文は『ベロ出しチョンマ』『モチモチの木』の斎藤隆介、絵は『赤い蝋燭と人魚』『戦火のなかの子どもたち』の岩…

絵本『しずかなおはなし』の静かな世界

作者の紹介 & 本書の梗概 『しずかなおはなし』は、ソ連邦(現ロシア)の絵本。本国では1956年に出版されています。文章を書いたサムイル・マルシャークさんは小説・詩・翻訳など、文学全般に優れた業績を残した方で、彼の名をつけた小惑星もあるとのこと。…

宮澤賢治『よだかの星』を再読して泣いた理由は?

物語の梗概 『よだかの星』は宮沢賢治の童話です。 よだかは、顔容(かおかたち)が醜く、鷹という名がついているくせに、強くも恐ろしくもないため、他の鳥たちに疎まれ、馬鹿にされています。さらに、鷹からは「鷹の名を語るな、改名せよ」と迫られます。 …

宮澤賢治『銀河鉄道の夜』の自己犠牲を考える

『グスコーブドリの伝記』の場合 自己犠牲の物語として直ちに思い出すのは、宮澤賢治の『グスコーブドリの伝記』です。この物語の背景には、特に東北地方において宿命的に繰り返されてきた凶作と飢饉の記憶が横たわっています。主人公のブドリは、冷害による…

絵本『かわせみのマルタン』とバードウォッチング

バードウォッチングに繋がる本との出会い 去る5月11日、三十歳を過ぎた頃からバードウォッチングを始めたことを記事に書きました。しかし、唯一例外となる鳥がいます。それはカワセミです。中国では翡翠、英名でKing Fisherと呼ばれるこの鳥には、世界各…