夕暮れフェルマータ

 人生のマジックアワーに振り返る好きな本とか自然とか…。

バードウォッチング 晩夏の候の密かな楽しみ

八月下旬って、どちらかと言えば、オフシーズン? 野鳥はもちろん四季折々に見られるのですが、やっぱりポイントとなるシーズンというのはあって、ほとんどのカモ類は冬、囀りの美しいオオルリやキビタキ、クロツグミなどは夏、です。 留鳥のカワセミなどは…

テンカラ釣師。九月の釣行、どうしますか?

禁漁間近の渓流釣りは? 近所の神社の森から聞こえる蝉の声が、クマゼミからヒグラシに代わりました。日中の暑さは相変わらずですが、確実に季節は動いているようです。渓流釣りの方も、標高の高い源流を除いて、小休止といったところでしょうか。 さて、九…

「門を出て故人に逢ひぬ…」 与謝蕪村の俳句鑑賞

作品の取捨のこと これは別に蕪村に限ったことではありませんが、同じ題材、同じ主題で、同時に複数の作品が生まれる場合があります。もちろん、表現が異なるのですから、切り取り方やウェイトの置き方に何らかの違いはあるのですが、作った当初はなかなか客…

うつくしやせうじの穴の… 小林一茶の一句鑑賞

「月花や…」 一茶の俳諧観は? 小林一茶については、当ブログで二回ほど取り上げています。その際、彼の生涯について素描しておきました。 一茶は信濃北辺の農家に生まれ、十五の歳に江戸へ奉公に出されました。その後、苦労をして俳諧の宗匠になりますが、…

テンカラ釣り 記録より記憶に残るイワナ・アマゴ・ヤマメのヒットシーン【アマゴ編】

揖斐川水系・源流の釣りと徳山ダム 岐阜県西部に移住してきてからは、揖斐川の支流・源流に通ってきました。揖斐川水系は基本的にアマゴの渓ですが、最源流にはイワナが棲息している渓もあります。 僕が揖斐川の源流に通い始めた頃は、徳山ダムの工事が佳境…

テンカラ釣り 記録より記憶に残るイワナ・アマゴ・ヤマメのヒットシーン【ヤマメ編・本題】

東京時代のホームグラウンド、秋川源流での釣り 東京(八王子市)に住んでいた頃は、地の利もあって、僕のテンカラ釣りのホームグラウンドは秋川(多摩川の支流。上流で北秋川と南秋川に分かれる)でした。 もともと、沢登りから入ったこともあり、僕の釣り…

テンカラ釣り 記録より記憶に残るイワナ・アマゴ・ヤマメのヒットシーン【ヤマメ編・前説】

ヤマメとアマゴ、「陸封」のことなど。 ヤマメはビジュアル的にも大変美しい魚です。特に、体側についた楕円形のパーマーク(幼魚斑)がキュート。地域差が著しいイワナよりは、はるかに統一された容姿を持っています。但し、専門的に見れば、ヤマメにもかな…

テンカラ釣り 記録より記憶に残るイワナ・アマゴ・ヤマメのヒットシーン【イワナ編】

テンカラ釣師の自慢話 〜 まずはタックル紹介 今回は、過去の釣行から、印象的だったヒットシーンを取り上げて書いてみたいと思います。要するに自慢話なんですが、多少なりとも皆様の釣行時の参考になるような記述を心がけますので、どうかお付き合いくださ…

ケリの擬傷と絵本『こちどりのおやこ』のこと

絵本『こちどりのおやこ』のこと 『こちどりのおやこ』は、1968年に福音館書店から「こどものとも」シリーズの一冊として刊行された絵本です。川の中洲で子育てをしていたコチドリが、外敵であるイタチから、擬傷によって雛鳥を守ったエピソードを絵本にした…

ごくごく私的な四季の秀歌選 「秋」編・本題

前回、投稿した記事では、ごくごく私的な四季の秀歌選「秋」編・前説と題して、現代の「歌謡(=ポップスその他)」では、あまり重視されていないように見える「秋歌」の伝統について概説しました。 今日は、前回に引き続き、本題のごくごく私的な秋歌ベスト…

ごくごく私的な四季の秀歌選 「秋」編・前説

現代は「夏歌」全盛の時代 ここで言う「歌」は、基本的にCDその他でリリースされる楽曲です。昔なら「流行歌」「歌謡曲」などとジャンル分けされていたもの。最近では、ロックはもちろん、ヒップホップやダンスミュージックなど、様々なジャンルの音楽がヒッ…

テンカラ釣り番外編「面白うて、やがて寂しきソロキャンプ」

沢屋から釣師へ。稜線、遠のけり(笑) 首都圏に在住していた頃は、毎年、この時期になると、1泊2日のソロキャンプに出かけていました。エリアは主に上越方面で、テンカラ釣りを始めるまでは沢を源頭まで遡って帰ってくるパターンでしたが、釣竿を携えて出…

秋来ぬと目にはさやかに見えねども 『古今集』一首鑑賞

今日は立秋。秋の気配、感じますか? 今日は立秋です。暦の上では今日から秋ということになります。感覚的にはいかがですか。台風5号の接近・上陸があり、心配なところではありますが…。 僕は今、ちょっと訳があって、(自宅では)クーラーのない生活をして…

青山を横切る雲のいちしろく 『万葉集』一首鑑賞

前説:『万葉集』は序詞競演の場 序詞(じょし / じょことば)については、当ブログの過去記事でも取り上げていますので、詳細はそちらに譲りますが、ごく簡単に申しますと、和歌の中の特定の言葉(その歌の主題に関係する大切な言葉であることが多い)を導…

小林一茶を芭蕉・蕪村と比較してみた

芭蕉・蕪村・一茶の俳諧に対する姿勢の特徴 前々回に引き続き、小林一茶について考えます。 小林一茶は生涯に二万句以上の発句を遺しました。俳聖松尾芭蕉は約千句、与謝蕪村は約三千句と言われています。 後付けの感は否めませんが、以下のように考えると妙…

市街地に出没する野生動物たちについて考えた

野生動物出没のニュースとクマの話 最近、野生動物が市街地に現れたというニュースをよく聞きます。統計的なことは調べていませんが、本州に生息するツキノワグマにしても、北海道に棲むエゾヒグマにしても、山菜採りなどで山に入った人が遭遇するケースに加…

小林一茶の人生とその魅力について考える

小林一茶が気になります! 最近、小林一茶のことを考えています。 僕は以前から与謝蕪村が好きで、正直なところ、松尾芭蕉に関してはどうしても「勉強」している感が否めません。それでも、ここ数年で、芭蕉の凄みが何となく理解できるようにはなりました。 …

テンカラ釣り初心の記「あの夏は暑かった!」

アウトドアの夏、テンカラの夏 このところアウトドア系の記事の投稿が続いていますが、子どもたちが夏休みということもあり、世間一般アウトドアシーズンだと思うので、良しとしましょう。 さて、僕は、渓流釣り、しかも和式の毛鉤釣りであるテンカラ釣りし…

沢登りでの「しくじり」を経験者が語ります Part2

前回、同様のタイトルで、沢登り中に起きた「死ぬかと思った」エピソードについてご紹介しましたが、今回はその続編です。 このところ、アウトドアにおける事故がニュースに取り上げられることが増えたように思います。 これは事故そのものが増えたのか、ニ…

沢登りでの「しくじり」を、経験者が語ります!

沢登りのシーズン到来! 沢登り的自己紹介 毎日、暑い日が続きます。沢登りの季節ですね。僕は多少、沢登りをやるんですが、全くの独学で、遡行(山行)もほとんどが単独行です。沢登りでは、不測の事態に陥った場合、一気に致命的な状況を招来する可能性が…

高尾山から陣馬山へ 魅惑のナイト・ハイキング

人間だもの。暗闇が怖いのは当たり前 夜の山を照明なしで歩いたことがありますか? 普段、ショーウインドウや車、街灯など、明るい夜に慣れてしまうと、郊外の暗さに恐怖を覚えることがあります。それでも、田畑の中に人家が点在する地域なら、足元を照らす…

テンカラ釣りの実戦的装備(日帰り釣行の場合)

まず、どんな渓相の渓に行くのか、について設定しておきましょう。大まかに「日帰り釣行の場合」としましたが、ザイルが必要な渓にザイルなしで行くわけにいきませんから。それでは、今回の記事で「行ったつもり」になる渓の状況を箇条書にします。 入渓地点…

与謝蕪村・内藤丈草に共通する魅力、そして作品

俳諧(特に、発句=今でいう俳句)のことを書こうとすると、まず与謝蕪村、それから、芭蕉の弟子の内藤丈草などを取り上げたくなるのは、明らかに僕の個人的な好みが影響しています。 蕪村のこと 蕪村については、俳諧と同時に絵師として活躍し、同時代を生…

藤原定家・西行・与謝蕪村         和歌・俳諧における「無」の美について考える

我が国に伝統的な美感 和歌に限らず、言語芸術においては、実際にそこにないものを「ない」と表現することで文芸上の効果を狙うことがあります。 これは、ファンタジーのような空想の産物を描く、という意味ではありません。なぜなら、当該作品の設定として…

挽歌の伝統と余明軍の哀悼歌

「挽歌」とは何か 「挽歌」は『万葉集』の三大部立の一つ(他の二つは雑歌と相聞)としてよく知られています。元々は、中国において、葬送の際、柩車を挽く役割の者が歌った歌をそう呼んでいたようですが、『万葉集』においては、広く死者を哀悼する歌を指し…

テンカラ師が見たカゲロウの羽化とスーパーハッチ

今回の主役は、カゲロウ 前回は、オオムラサキとの貴重な邂逅について書きました。今回も引き続き、昆虫との出会いについて書いてみます。オオムラサキの方は、準絶滅危惧種の指定を受けているということで、個体数そのものが少ないのですが、今回取り上げる…

オオムラサキ ある特別な蝶の話  

日本の国鳥は? 国蝶は? このブログでも何度か昆虫について取り上げています。具体的には、アサギマダラやハンミョウについて書きました。今回はさらに、ある蝶を取り上げたいと思います。 皆さんは、日本の国鳥が何かご存知ですか。そう、キジです。実はこ…

テンカラ釣りの釣法のポイントと条件・その他

テンカラ釣りのベストシーズン・天候・水量は? テンカラ釣りのベストシーズンは、山吹が咲く頃とはよく言われます。当然、標高の低い地域や南の暖かい地域では早く、標高が高い、あるいは北の涼しい地域では遅く開花するのが基本ですから、テンカラ釣りのベ…

芭蕉以前の俳人たち・その壱

連歌から俳諧連歌へ 松尾芭蕉が、幽玄・閑寂な境地に立った「蕉風」と呼ばれる俳風を確立する以前の俳諧は、言葉遊びを含めた滑稽を旨としていましたが、その人気は高く、印刷技術の発達とも相俟って、盛んに俳書が作られていました。そうした俳書は、一般の…

『万葉集』秀歌鑑賞 大伴家持の「春愁三首」

大伴家持と言えば、『万葉集』後期の代表的な歌人で、詳細は不明なものの、『万葉集』の編纂にも深く関わった人物として知られています。古来、大伴氏は軍事の分野で朝廷に仕えてきた名門でしたが、蘇我氏や、それに代わる藤原氏が台頭するに従って、徐々に…

ペルセウス座流星群・星座の和名のことなど

星の記憶 星や星座についてはとても詳しいとは言えないのですが、幾つか印象的な思い出もあるので、書いてみます。 以前から、星空を全く見上げないわけではなく、人並みに、北斗七星やカシオペア座、オリオン座や蠍座くらいは分かるようになってはいました…

ブックレビュー 映画「転校生」の原作    『おれがあいつであいつがおれで』を紹介します!

長谷川集平さんのイラストもキュート あれは二十歳になるかならないかの頃、半年ほど、集中して児童文学を読み込んだ時期がありました。学校が休みの日に朝から図書館に通って、気になった本を読んでいきました。当時は児童文学や絵本についての評論や紹介本…

与謝蕪村の三句鑑賞 / 小さきものへの愛

小貝・白露・茨の棘・かかり舟 与謝蕪村の作品は絵画的である、とよく言われます。もちろん、それに間違いはないのですが、彼の対象を見つめる眼差しには、どこか寂しさを分け合うような温もりを感じます。一見、純粋な写生の句に見えながら、控えめに優しい…

山城ファン(ニワカ)の山城訪問記      松尾山城・小谷城編

山城ファン(ニワカ)のご報告 / 松尾山城跡編 本格的なマニアの方には及びもつきませんが、僕も幾つかの山城を訪れたことがあります。自宅からほど近い関ヶ原町にある松尾山城には、図書館で手に入れた縄張り図のコピーを持って登ってきました。 松尾山城は…

本歌取り / 表現技法別に見る和歌・その弐

本歌取り・概説 和歌の技法の一つに「本歌取り」があります。『万葉集』においても、その萌芽と見られる例はありますが、確固たる技法として確立されたのは平安時代の末頃です。 「本歌取り」という技法がこの時期になってようやく本格的に用いられるように…

和歌史における柿本人麿の特異性について考える

『万葉集』の、いや、和歌の歴史における最高位の歌人として、柿本人麿の名を挙げる人は多いでしょう。素人ながら、僕もその意見に賛成です。 もちろん、千数百年に及ぶ和歌史の中で、新たな展開のきっかけを作った人物は少なくありません。よく知られた春愁…

ハトの野生種と、その出会い

ドバトは野生種? 皆さんは、野生の鳩を見たことがありますか。こんな質問をすると、ほとんどの方は、もちろんあるよ、と返答されると思います。そんな時、多くの方の脳裏に浮かんでいるのは、神社仏閣の境内や公園などにたむろするあの青灰色の羽を持つドバ…

歌人・京極為兼のスーパーリアルな美的世界

京極為兼は鎌倉時代末期に生きた歌人です。当時の常識であった伝統に則った作歌方法に異議を唱え、「心のままに詞のにほひゆく」*1和歌を良しとする歌論を推し進め、実作にも多くの佳品を遺しました。 為兼は、藤原定家の曾孫であり、政治家としても活躍し、…

江戸時代末期の俳諧 / 成美・月居・道彦の佳句

18世紀も末になると、幕藩体制の硬直化がとみに進んで、末期的な様相を呈してきます。それに伴い、体制側からの管理、締めつけが強化され、自由闊達な表現がしにくくなってきました。そのため、文芸においても、自らは安全地帯に身を置きながら、陰で皮肉…

ちゅうちゅうは眠り姫か?          絵本『いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう』を読む

本書の梗概 & 作者の紹介 いたずらきかんしゃちゅうちゅう (世界傑作絵本シリーズ) 作者: バージニア・リー・バートン,むらおかはなこ 出版社/メーカー: 福音館書店 発売日: 1961/08/01 メディア: ハードカバー クリック: 10回 この商品を含むブログ (72件) …

斑猫幻想  ハンミョウ釣り情報のおまけ付き

ハンミョウとの出会い 初夏、日当たりのよい林道をのんびり歩いていると、不意に足元からスッと飛び立つものがあります。ハンミョウです。こちらが歩を進めると、再びスッと浮きあがっては、数メートル先の日溜まりに着地します。これを飽きずに繰り返します…

長谷川集平『トリゴラス』『パイルドライバー』  荒ぶる少年の内なる世界

『トリゴラス』 集平マジック・その1 『トリゴラス』は、1978年に出版された、長谷川集平初期の傑作絵本です。強風の吹き荒れる夜、少年の妄想は「トリゴラス」という名の空飛ぶ怪獣を生み出します。散々、町を破壊し尽くした挙句、トリゴラスはかおるちゃ…

絵本『ひさの星』  自己犠牲をめぐって

作者の紹介 & 本書の梗概 絵本『ひさの星』は、子どもの手に余る大判で、基本的には読み聞かせすることをイメージした装丁のようにも思えます。 文は『ベロ出しチョンマ』『モチモチの木』の斎藤隆介、絵は『赤い蝋燭と人魚』『戦火のなかの子どもたち』の岩…

絵本『しずかなおはなし』の静かな世界

作者の紹介 & 本書の梗概 『しずかなおはなし』は、ソ連邦(現ロシア)の絵本。本国では1956年に出版されています。文章を書いたサムイル・マルシャークさんは小説・詩・翻訳など、文学全般に優れた業績を残した方で、彼の名をつけた小惑星もあるとのこと。…

『古事記』の一首鑑賞 / 「さねさし相模の…」

さねさし相模の小野に燃ゆる火の火中に立ちて問ひし君はも 父、景行天皇の命により東征に向かったヤマトタケルは、走水の海(現在の浦賀水道)を航行中、海神の怒りに触れ、激しい時化に見舞われます。その際、海神の怒りを鎮めるために自ら入水することを申…

与謝蕪村の一句鑑賞 その七

小鳥来る音嬉しさよ板びさし 作者は屋内に居て、ふと軒先から聞こえる微かな物音に気付きます。耳を澄ますと、時折、可憐な鳴き声も聞こえてきます。板びさしの上を小鳥が歩き回っているのです。「ああ、もう小鳥がやってくる季節になったか」と、嬉しい気持…

夜のアニマルウォッチング / バードウォッチング番外編

夜間ドライブは動物と会うチャンス 今回は、バードウォッチング記事の番外編として、夜間のアニマルウォッチングについて書いてみます。 そもそもの始まりは、釣行帰りの夜のドライブでした。多くの方がそういう経験をお持ちだと思いますが、多少とも山野に…

オシドリの夏 / 揖斐川源流で出会ったオシドリたち

オシドリは冬鳥? オシドリというと、オスの複雑で美しい羽色や、仲の良い夫婦を例える「おしどり夫婦」という言葉で知られています。冬季には大きな公園の池などでも見かけるので、他の多くのカモ類同様、冬鳥と思われる方も少なくないかも知れません。 し…

与謝蕪村の一句鑑賞 その六

我(わが)帰る路いく筋ぞ春の艸(くさ) 上掲の一句は、当時、自身の性格的な問題もあって大坂(現在の大阪)を追われ、兵庫に流寓していた弟子の大魯を訪ねた際に開かれた句会で生まれたもの。たまたま引き当てた「春草」という題による即興です。 この句…

松尾芭蕉『おくのほそ道』をめぐる雑感 / 『おくのほそ道』は第一級のファンタジーである!

松尾芭蕉の著作といえば、何と言っても『おくのほそ道』でしょう。芭蕉が、愛弟子の河合曾良とともに「みちのく」を旅して認めた紀行文として有名です。しかし、これもよく知られていることですが、そこに記載された内容は必ずしも事実そのものではありませ…